分厚い肉が
ファイヤー!

あの頃の俺は「何が正解!」で「何が悪い事!」なのか全く学ばない少年だった。

ある日急に親父に呼ばれた俺は、ものすご〜く悪い予感を感じた。
それもそのはず、ちょっと大きな喧嘩をして二日後、学校も行かずに親友の裕二と遊び更けていたから。
そして「親父が何も教えてくれないから何が悪いことなのかわからないし〜」みたいなヒネくれ者の俺は「久しぶりに親父にシメられる」と、ちょっとビビっていた。

なぜなら普段、呼び出し説教するのは母ちゃんだったから。

親父「ちょっとこっちに来い」

「なんだよ」

親父「お前かなり悪いことを最近しなかったか?」

「知らねーよ」

親父「学校の方から、もう来なくていいよといわれてるぞ」

「ラッキーじゃん!毎日裕二とたんべてダベれる」

するとスコーンと平手がほっぺたに!
「痛ーっ!!」とっ思ったら親父の左足が俺のヘソ上にびしっ!

親父「おめはー学校も行かないで
   これからどうするんだーーー!」

「どうすんだこれからって…
  う〜んどうすんだろう?」
 (くそー1人じゃ勝てんわ!裕二呼ぶか~)

っとその時、テレビの中で高〜い帽子をかぶったコックさんが旨そうな分厚い肉を焼いている。
(おっ!おおっ!…旨そう!)

おっ!
あれって親父が大事にしてるブランデーってやつじゃね?

肉にぶっかけたあ!
炎が舞い上がりファイヤー!!!!
かっこいいー!

気が付くとヨダレが…

これだー!

「親父!俺これやりたい!」

親父「なに~?おっ!料理人か~?」

「これ、なんていう料理?」

親父「そりゃ~お前、フランス料理っつうもんだよ」

「フランス料理って何?」

親父「バカヤローそんなのも分からないのか!!フランスという国の料理だよ」

「そのまんまじゃん!俺これやるよ!」

親父「思いつきで出来たら苦労しないわ!」

「カッコよすぎだし、こんな旨そうな高そうなもの毎日食えるんだろ?
決めたぜ親父!フランスっていう国へ行って料理で天下取ってくるわ!」

親父「……好きにしろ!」

思い立ったらジッとしていられない俺は、教科書の世界地図を引っ張り出して親友のもとへ走っていた…

つづく

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