シンガポール1号店(続章)
なぜ、シンガポールなのか。
それは単なる海外展開の第一歩ではない。
ここは「文化の交差点」だからだ。
東洋と西洋。
伝統と革新。
多民族、多宗教、多言語。
この都市国家は、
違いを排除せず、
違いを融合させながら発展してきた。
洋食という料理もまた、
日本が西洋を受け入れ、
自国の感性で再構築した文化である。
だからこそ、
この地に最初の旗を立てる意味がある。
シンガポール1号店は、
単なるレストランではない。
それは――
「洋食文化の実験室」であり、
「世界標準を探る場」であり、
「未来の仲間と出会う港」である。
大きな規模は必要ない。
派手な宣伝もいらない。
必要なのは、
一皿に込める誠実さ。
オムライス一皿に、
ハンバーグ一皿に、
日本人が育んできた“やさしさ”を込める。
それを理解する人が一人現れれば、
そこから文化は広がる。
一号店は、完成形ではない。
むしろ未完成でいい。
ここで学び、
ここで修正し、
ここで磨き、
やがて香港へ、
そしてその先の都市へ。
世界へ出るとは、
誇示することではない。
問いを持ち続けることだ。
「この一皿は、世界に通用するか?」
その答えを探す最初の港。
それが、シンガポール1号店である





